なんとなく不調。そんなとき、食事からできることがあります

「最近なんだか疲れやすい」
「よく眠れない」
「肌の調子がよくない」
「やる気が出なくて、食事を作る気力もない」
そんな不調が続いていませんか?
調子が悪いと、
「もっとちゃんと生活しないと」
「食事もきちんとしないと」
と、自分にたくさんの宿題を
出してしまいがちです。
でも、いきなり100点の生活を
目指す必要はありません。
当院の食事指導で大切にしているのは、
今の生活の中で、
できることをひとつ増やすこと。
食事を「できている・できていない」
で採点するのではなく、
今より少しだけ楽に続けられる方法を
一緒に探していきます。
こころも、からだも、食事と無関係ではありません
私たちの体は、食事からとった
さまざまな栄養を使って働いています。
タンパク質は体をつくる材料になります。
鉄はヘモグロビンなどの構成成分となり、
酸素を運ぶために必要です。
脂質もエネルギー源になるだけでなく、
細胞膜などをつくるために
必要な栄養素です。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」は、
現在2025年版が使用されています。
脂質、タンパク質、
ビタミン、ミネラルなどについて、
それぞれ摂取基準が示されています。
(厚生労働省)
ただし、
「この栄養素をとれば、うつが治る」
「この食べ物を食べれば、不眠が治る」
という単純なものではありません。
こころや体の不調には、
病気、睡眠、ストレス、生活環境など、
さまざまな要因が関係します。
食事は治療の代わりではなく、
こころと体が回復していくための
土台のひとつと考えていきましょう。
目指すのは「完璧な食事」ではありません
食生活を整えると聞くと、
「毎日自炊しなきゃ」
「野菜をたくさん食べなきゃ」
「3食きちんと食べなきゃ」
と思う方もいるかもしれません。
でも、疲れているときには、
献立を考えることも、買い物へ行くことも、
料理をすることも大仕事です。
そんなときは、
「変える」より「足す」
くらいから始めてみましょう。
たとえば、
おにぎりだけ
→ ゆで卵や魚のおかずをひとつ足す
パンだけ
→ ヨーグルトや牛乳を足す
麺だけ
→ 卵や豆腐を足す
食欲がない
→ 豆乳、ヨーグルト、バナナ、味噌汁など、
口にしやすいものから
これくらいで構いません。
コンビニ、冷凍食品、お惣菜、缶詰、
レトルト食品も立派な選択肢です。

脂質も「全部減らす」のではなく、上手に選びましょう
ダイエットや健康診断をきっかけに、
「油はできるだけ食べない方がいい」
と思っている方もいるかもしれません。
でも、脂質そのものが
悪いわけではありません。
脂質は体に必要な栄養素なので、
極端にゼロにする必要はありません。
大切なのは、量だけではなく、
どんな脂質をどのくらい食べるか
を考えることです。
厚生労働省の2025年版食事摂取基準でも、
脂質について摂取基準が設定されています。
(厚生労働省)
肉をやめるのではなく、ときどき魚に
サバ、イワシ、サーモンなどの魚には、
EPAやDHAなどの
n-3系脂肪酸が含まれています。
毎日魚にする必要はありません。
肉料理が続いているなら、
「今日は肉だったから、次は魚にしてみよう」
くらいで十分です。
焼き魚を作らなくても、
サバ缶、ツナ、刺身、コンビニの焼き魚、
冷凍魚などを利用できます。
特に中性脂肪が高い方では、
魚に含まれるn-3系脂肪酸を
取り入れることも食事改善の
ポイントのひとつです。
(kennet.mhlw.go.jp)
卵も便利な「足しやすい食品」です
卵は、料理をする元気がない日にも
使いやすい食品です。
おにぎり+ゆで卵
うどん+卵
パン+卵料理
など、普段の食事にタンパク質を
足したいときにも便利です。
ただし、
「体によいから、たくさん食べればよい」
ということではありません。
特にLDLコレステロールが高い方では、
食事中のコレステロールを多く
とりすぎない方がよい場合があります。
検査結果や食生活全体を見ながら、
その方に合った量を考えることが大切です。
(kennet.mhlw.go.jp)
肉やバターも「禁止」にしなくて大丈夫です
脂質異常症だからといって、
「肉は禁止」「バターは禁止」
と考える必要はありません。
お肉にはタンパク質や
鉄なども含まれていますし、
好きな食品をすべて禁止してしまうと、
食事そのものがつらくなってしまいます。
一方、高LDLコレステロールでは、
脂身の多い肉、バター、生クリームなどに
多く含まれる飽和脂肪酸を
とりすぎないことが大切です。
(健康日本21アクション支援システム)
毎日脂身の多い肉を食べているなら、
ときどき魚や大豆料理にする。
バターを使った食事を食べたからといって
「失敗した」と考えない。
禁止ではなく、バランスをとる。
それくらいの考え方で続けていきましょう。
揚げ物を食べた日があっても、それで失敗ではありません
唐揚げやとんかつが
好きな方もいるでしょう。
揚げ物を絶対に食べない生活を
目指す必要はありません。
大切なのは、揚げ物ばかりが
何食も続かないようにすることです。
お昼が揚げ物だったら、
夜は焼き魚や豆腐料理にしてみる。
昨日が唐揚げだったら、
今日は少しあっさりしたものを選んでみる。

一食ごとに
「成功」「失敗」と考えるのではなく、
数日から一週間くらいの中でバランスをとる
イメージで考えましょう。
LDLコレステロールと中性脂肪では、見るポイントが少し違います
「脂質異常症」といっても、
検査結果によって食事で
確認したいポイントは異なります。
LDLコレステロールが高い場合は、
まず飽和脂肪酸のとりすぎがないか
確認します。
一方、中性脂肪が高い場合は、
脂質だけではなく、
- 甘い飲み物
- お菓子
- アルコール
- 食事全体のエネルギー量
なども一緒に確認することが大切です。
(健康日本21アクション支援システム)
「健康診断で脂質を指摘されたから、とにかく油を抜く」
ではなく、検査結果に合わせて
考えていきましょう。
食事を「怒られる時間」にしないために
当院の食事指導は、
「もっと野菜を食べてください」
「自炊してください」
「甘いものは禁止です」
と、一方的に食生活を
採点することを目的としていません。
自炊ができなくても大丈夫です。
コンビニ中心でも大丈夫です。
甘いものや揚げ物を食べる日が
あっても大丈夫です。
大切なのは、
今の生活の中で続けられる方法を
見つけること。
できることをひとつずつ、
一緒に増やしていきましょう。
食事から、今の不調を一緒に整理してみませんか?
ゆうメンタルクリニックでは、
栄養指導をはじめました。
令和8年9月から大宮院でスタートしました。
今後は、順次ほかの院でも
開始していく予定です。
「食事とこころって、そんなに関係あるの?」
と思われる方もいるかもしれません。
実は、毎日の食事は、
こころや脳の働きとも
無関係ではありません。
このコラムでは、
そんな「こころと栄養」の関係について、
医師の視点からわかりやすく
お話ししていきます。
栄養指導にご興味のある方は、
お気軽にお問い合わせください。
「何を食べればよいかわからない」
「食生活が乱れている」
「料理をする元気がない」
「健康診断の数値も気になっている」
そんな方もご相談ください。

よくあるご質問
自炊できなくても食事指導を受けられますか?
はい。コンビニ、冷凍食品、お惣菜、缶詰、レトルト食品なども含めて、実際の生活の中で続けられる方法を一緒に考えます。
食生活を改善すれば、うつや不眠は治りますか?
食事だけですべての症状が改善するわけではありません。食事は治療の代わりではなく、こころや体の調子を整える土台のひとつとして考えます。症状が続いている場合は、医師による診察も大切です。
ダイエット中なので、脂質はできるだけ減らした方がよいですか?
脂質も体に必要な栄養素なので、極端にゼロにする必要はありません。食事全体の量を見ながら、魚なども取り入れ、種類やバランスを考えていきます。
脂質異常症ですが、卵や肉を食べてもいいですか?
一律に禁止するわけではありません。ただし、LDLコレステロールが高い方では、飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品の量を調整した方がよい場合があります。検査結果や普段の食生活に合わせて考えます。(kennet.mhlw.go.jp)
サプリメントを飲めばよいですか?
不足が疑われる栄養素があっても、自己判断で大量に摂取することはおすすめしません。症状によっては診察や検査が必要な場合もあります。
参考資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(厚生労働省)
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「脂質異常症」「脂質異常症の食事」(kennet.mhlw.go.jp)


